ワンちゃんのウンチに血が混じっていたら、それも真っ赤な鮮血に近い血液が混ざっていたら、不安ですよね。
便に血が混じることを「下血」といいますが、下血を色別に分類すると2つに分かれます。
真っ黒い便を「タール便」や「メレナ」といい、真っ赤な便を「血便」と言います。
今回は、症状として、この真っ赤な血便が多く見られる病気、「大腸性の炎症性腸疾患」についてお話しします。
目次
■鮮血の血便どこからの出血?
真っ赤な血液が便中に出てきている場合、出血した場所は「大腸」と特定出来ます。
出血が小腸で起きた場合、小腸から肛門までの距離が長く、便が排出されるまでに時間がかかるので便の色は“黒く”なるのです。
血便は下痢を伴うことが多く、大腸性の下痢の特徴は「便回数が増える」「粘膜便がでる」「血便が見られる」「しぶりがでる」となっています。
■炎症性腸疾患はどんな病気?
炎症性腸疾患のことを最近では「IBD」と呼ぶことが増えています。
このIBD、実は明らかな原因は不明。
遺伝的なもの、環境要因、免疫系などが相互作用して起こると考えられています。
小腸性と大腸性に分類されます。
まずは小腸と大腸を区別せずにこの病気の特徴をみていきます。
【IBDの特徴】
3週間以上続く下痢・嘔吐をはじめとする胃腸症状がある
駆虫薬や抗生剤、粘膜保護剤などの対症療法では改善しない
他に胃・小腸・大腸の炎症の原因が特定出来ない
組織検査で炎症細胞が見つかった
【小腸性IBDと大腸性IBDの症状】
上記の特徴以外に発生するこの病気の主な症状です。
小腸性のIBDの症状
食欲不振・続く嘔吐・体重の減少・黒色便(下痢でないこともあり)
大腸性のIBDの症状
排便回数の増加、鮮血便、粘膜便、しぶりを伴う下痢
■大腸性炎症性腸疾患の検査と治療
まずは通常の下痢の検査と治療をお話しします。
【検査】
糞便検査(原虫や寄生虫に感染していないかなど検査します)
血液検査(全身状態を確認するために検査します)
便潜血検査(便中に血液が混ざっているかどうかの検査)
触診(腹部を触って痛みがあるかどうか確認します)
【治療】
一般的な下痢止め投薬
駆虫薬(抗原虫薬)の投薬
抗生剤の投薬
下痢用の療法食の投与
上の通常の下痢の治療をしても下痢や鮮血便に改善が見られない場合には、炎症性腸疾患を疑って検査や治療が行われます。
【IBDの検査】
組織学的検査:内視鏡や開腹手術で大腸の一部を取って、病理組織検査をします。内視鏡、開腹手術ともに全身麻酔が必要です。
内視鏡がない動物病院もまだまだ多くありますので、そういった場合は、お腹を開けて腸の一部を切り取る手術をしなければなりません。
下痢しているだけで、いきなり麻酔をかけて手術してまで検査はしたくない…と思う方も多いはずです。
病院にもよりますが、詳しい検査は後回しにして「治療的診断」を行うこともできます。
治療的診断とは、病気特定の検査をせずに、疑っている炎症性腸疾患の治療をして、その治療でよくなったらやっぱり炎症性腸疾患だったね!と診断しましょうというもの。
【IBDの治療】
明らかな原因は不明の病気ですが、免疫系が絡んでいることはわかっていますから、免疫抑制剤と呼ばれる薬を投薬したり、食物アレルギー用の療法食※(病院専用のフード)を食べてもらったりします。(どちらも半永久的に)
また、大腸の炎症や出血をとめる薬の投薬もします。
組織検査をしていなくてもこの治療で症状が落ち着いてくるようなら、「おそらく炎症性腸疾患」という仮の診断がつけられます。
(あくまで腸の組織検査をしていないので、仮の診断です)
※食物アレルギー用の療法食がIBDの治療に使われる理由
食物アレルギー用の療法食は、アレルギーの原因によくなり得る物質の使用を抑え(または使わず)低アレルゲンに作られているものです。
現在与えているフードのタンパク質にアレルギーを持いなくても、低アレルゲンの食事へ変更することが、免疫が関係する腸粘膜の炎症を抑えるには有効とされています。
■まとめ
いかがでしたでしょうか?
炎症性腸疾患、原因不明というところが怖いですよね。
残念ながら、獣医さんによっては「単なる下痢・下痢したせいで出血しただけ」とずっと同じ薬だけで様子をみる先生もいます。
しばらく下痢や血便が続いている場合は、他の動物病院にセカンドオピニオンを求めてみることも大切ですよ。
関連記事になります。合わせて御覧ください。
⇒犬の下痢が続く原因の病気5選!嘔吐や血便もある場合はウイルスの可能性も
⇒犬の下痢!便に血が混じる!ゆるい!考えられる原因と病気とは
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