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犬の尿毒症!症状や余命は?原因や治療法も解説

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■犬の尿毒症

尿毒症という言葉を聞いたことがあるでしょうか。シニア犬を飼っている方ならご存じかもしれません。

また「尿毒症になると命が危ない」という話も耳にしたことがあるかもしれません。余命いくばくもないと言われた、というケースもあります。

今回は判明したときはすでに命の危機に瀕しているとまで言われる「尿毒症」を解説します。

■尿を作る腎臓の機能を知ろう

尿は主に血液から作られます。腎臓で血液を濾過し、必要なものと不要なものを選別し、老廃物や毒素を尿の中に入れて体の外へ排泄します。

また、体内の水分量やミネラルバランスを調整するのも腎臓の役目です。
腎臓の機能が低下すると、尿の量・色・質・臭いなどに異変が起こります。
尿は腎臓機能のバロメーターと言えますね。

腎臓は、その機能が1/3に低下しても大丈夫、と言われています。
それだけ腎臓には余力がある構造になっています。
それなのに尿に異常が出るようになると、相当なダメージを腎臓が受けているといっても過言ではありません。

■犬の尿毒症とは?

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尿毒症とは病名ではありません。
腎臓機能が低下して毒性のある老廃物が全身にまわり、体中の臓器に異常を生じる状態をいいます。

先にも述べましたが、腎臓は機能が1/3に低下しても問題なく尿を作れ、体に異常は表れません。

尿毒症という症状が現れるということは、腎臓がほとんど機能していない状態になっていて、毒素が全身にまわっている状態になっています。
尿毒症の症状が出る、ということは命の危機にあることを示しています。

■犬の尿毒症の原因はなに?

原因は腎臓の機能が低下することにあります。
腎臓機能が低下する理由は2種類あります。

●腎臓以外が原因で腎臓の機能が低下しているケース

・輸尿管(腎臓と膀胱をつなぐ尿の通り道)に炎症が起こり、尿が出なくなる【尿路閉塞】
・膀胱や尿道の炎症で尿が出にくくなったり、尿が出なくなる【結石症】や【膀胱炎】

こうした腎臓以外の泌尿器に病気があり、尿に異常が出ているケースで、それに気付かず治療が遅れた場合に尿毒症の症状が現れることがあります。

この場合は、泌尿器の炎症を抑える治療を行ったり、尿路を塞いでいる結石や腫瘍を取り除く治療を行います。
ただ、治療が遅れると腎臓に異常が出て腎臓摘出をしなければならないケースもあります。

●腎臓自体に異常があり、機能が低下しているケース

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こちらは腎臓自体に異常があるケースです。残念ながら、腎臓機能が低下した場合、その機能は回復しないと言われています。

腎臓は脇腹あたりに左右一個ずつあります。

腎臓の中はネフロンと腎盂(じんう)という場所があります。
ネフロンとは尿を作り出す小さな器官で約42万個もあります。
ネフロンで作られた尿が「腎盂」に集められる構造になっています。

尿を作り出すネフロンは壊れると再生しません。
つまり、腎臓自体に異常が生じて尿を作り出す部分が壊れると、根本的に「治す」ことはできません。

現れる症状に対応する対処療法を続けて症状を軽くすることしかできないのです。
尿毒症の症状が現れた時というのは尿に異常が現れるほど腎臓自体がダメージを受けている状態でり、腎臓が尿を作り出す機能のほとんどを失っているケースがある、ということなのです。

そしてそれは根本的な治療は不可能で、生きていられる期間が短いということを示しています。

以下に、どんな病気が腎臓自体にダメージを与える病気か紹介します。

【腎炎】

腎臓の内部、尿を作り出す器官であるネフロンのさらに中にある糸球体に炎症がおこる病気です。
炎症が起こる原因の多くは免疫作用の異常と言われています。

糸球体で尿を濾過する機能が低下し、体内に老廃物がまわって食欲低下、尿量の低下、嘔吐、脱水、けいれん、アンモニア臭がする口臭といった症状が現れます。

急性腎炎の場合は「急性腎不全」になり、最悪の場合は数時間で症状が悪化して命の危機に瀕するケースがあります。

【急性腎不全】

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数時間から数日で腎臓の機能が急激に悪化し、嘔吐、下痢、脱水症状を起こします。けいれんを起こしたり、昏睡状態に陥ることがあります。

腎炎が急速に進んで急性腎不全となった場合、死に至ることもあるので直ぐに動物病院で処置してもらう必要があります。

発見が早く、処置が適切で体力のある犬であれば回復を望めるケースもあります。

【慢性腎不全】

こちらはゆっくりとネフロンの破壊が進み、徐々に腎臓の機能が低下していくものです。老化が原因になることが多く、シニア犬にはよく見られます。

困ったことに、こちらは進行が非常にゆっくりなのでほとんど症状が現れません。老化現象かな?と思うような食欲低下や痩せるといった症状が見られる程度です。

症状が進行していくと水をよく飲むようになり、尿の量が多くなることがあります。このような症状で気付くケースと、尿毒症の症状が出て初めて気付くケースがあります。

【ネフローゼ症候群】

これは尿の中にタンパク質が大量に漏れ出てしまう症状の総称です。
目立った症状が出てこないので気付きにくいのですが、血液検査をすると血中のタンパク質の増加、コレステロール値の上昇といった異常に気付きます。

これはネフロンの中にある尿を作り出す糸球体に異常が生じ、本来なら体内に吸収しなければならないタンパク質を尿中へ排泄してしまうのが原因です。

体内のミネラルバランスも崩れてしまうため、体がだんだんとむくみ、元気がなくなったり食欲が低下するようなケースもあります。

■犬の尿毒症は治療は可能?余命はどれくらい?

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犬の尿毒症の治療や余命について解説します。

●治療

まず、尿結石や膀胱炎など、腎臓以外の場所が原因で腎臓の尿を作り出す機能に異常がでている場合は、結石を取り除いたり、抗生物質などの薬で炎症を押さえることで治療が可能です。

しかし腎臓の機能、とくにネフロンが破壊されている状態の場合は治すことはできません。この場合は、まず、体内から毒素を抜くために輸液という処置を行います。

そしてできるだけ腎臓に負担をかけない食事(体内にできるだけ老廃物・毒素が堪らないような食事)をするようにします。塩分を控え、良質な高タンパクの療養食に切り替えるケースがほとんどです。

また、むくみなどの症状には利尿薬を使いますし、副腎皮質ホルモン(ステロイド系の抗炎症薬)やビタミン剤を使います。

尿毒症の症状が出ている場合は、とにかく体内から毒素を除去して全身の機能を正常に戻さなければなりません。その後、腎臓に負担をかけないよう心がけた生活を送ります。

●余命

「体力がどれだけあるか」
「腎臓の機能がどれだけ残っているか」
「どれだけ頻繁に体から毒素を取り除く輸液が行えるか」

こうした点が余命に関わってきますが、尿毒症が出た犬の場合、早ければ数日以内、長く生きたとしても一ヶ月と宣告されるでしょう。

腎不全の状態で発見されたらおよそ余命一年余りと言われています。
体外に老廃物や毒素を排泄できないため、全身の機能に異常をきたし、多臓器不全で亡くなるのがほとんどです。

■まとめ

いかがでしょうか?
気付いた時にはすでに手遅れで、余命幾ばくもない、というケースが多い尿毒症ですが、可能な限り早く異常に気付いてあげたいですね。

シニア犬の場合は老衰で腎臓機能が低下することもよくあります。
塩分を控える、効率よく栄養素を取り込むことができる高タンパク低脂肪のフードを利用するなど、食生活に気をつけることであるていどは予防が望めます。

沈黙の臓器とも言われる腎臓の異常を見つけるのは困難ですが、できれば手遅れになる前に発見してあげたいですね。

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