舌の色がおかしい

犬のチアノーゼとは?症状や原因、対処法や応急処置を解説

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犬

「舌の色が悪いけど、これはチアノーゼ?」

「足先が冷たくなって、肉球の色が悪いけど大丈夫?」

犬の舌や肉球の色が突然悪くなっていたら、とても心配になると思います。
今回は突然起こるかも知れない、チアノーゼにスポットを当ててご説明したいと思います。

チアノーゼとは何?

チアノーゼとは皮膚や粘膜が青紫色に変化する現象を言います。

青紫色になるのはなぜ?

酸素は赤血球のヘモグロビンと結合することによって全身に運ばれています。
酸素化したヘモグロビンは正常の血液の色である赤色を呈しますが、実は元々のヘモグロビンの色は青紫色です。
つまり血液中の酸素量(酸素飽和度)が少なくなると、非酸素化ヘモグロビンが増え青紫色になり、チアノーゼという状態になるというわけです。

チアノーゼの原因と分類

犬

チアノーゼはその発症原因から末梢性と中心性に大別されます。

末梢性チアノーゼ

末梢の循環不全で見られる、体の一部(犬では後肢の発生が多い)におこるチアノーゼです。

中枢性チアノーゼ

呼吸器、心臓、脳脊髄の病気によって引き起こされる全身性のチアノーゼです。

末梢性チアノーゼを引き起こす病気やその症状は?

犬で末梢性チアノーゼを引き起こす病気として、大動脈血栓塞栓症が挙げられます。

大動脈血栓塞栓症

大動脈に血栓が詰まることで後肢に行く血流が遮断され、後肢の麻痺やチアノーゼ(肉球の色が青紫色)を引き起こします。
猫では肥大型心筋症の結果引き起こされる、比較的よく見られる病気ですが、犬でも同様の症状が表れます。
非常に強い痛みを伴うため激しく鳴いたり、舌の色は悪くありませんが呼吸が荒くなったり、体を触るのを嫌ったりします。
同じ突然の後肢麻痺を引き起こす椎間板ヘルニアと間違いやすい症状ですが、この病気は命に関わる緊急疾患です。
様子を見たりせずすぐに動物病院を受診する必要があります。

中枢性チアノーゼを引き起こす病気やその症状は?

犬

中枢性チアノーゼを引き起こすものに、呼吸器や心臓、脳脊髄の病気があります。具体的な病気を挙げていきましょう。

呼吸器の病気

呼吸器系の病気を紹介します。

喉頭麻痺

末梢神経障害や原因不明で声帯が正常に機能しなくなってしまう病気で、興奮時に突然失神したり、チアノーゼを伴った呼吸困難が見られます。
この病気は徐々に進行してくる病気で、前述の症状の前に「声が枯れてきた」「運動をしたがらない」などの前兆が見られることが多いです。

気管虚脱

気管が途中でつぶれてしまうために呼吸が出来なくなる病気で、中高齢の小型犬に多く発生します。
初めは咳やガーガーと喉が鳴るような呼吸が見られ、進行するとチアノーゼを伴った呼吸困難を引き起こします。

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肺水腫

肺に液体が溜まることで換気不全になり、チアノーゼや呼吸困難になる病気です。
肺水腫は、心臓に原因がある心原性肺水腫とそれ以外の非心原性肺水腫に分類されます(前者は後述の僧帽弁閉鎖不全症にて説明します)。
犬で見られる非心原性肺水腫の多い例は、1歳以下の子犬が頭部に衝撃を受けたり電機コードを噛んで感電したりすることが引き金となって引き起こされます。
有効な治療法がなく、亡くなってしまうことが多い恐ろしい病気です。

犬の肺水腫の症状や原因や治療法。余命により治療を考えましょう

肺炎

ウイルスや細菌、真菌(カビ)などの感染症や、アレルギー、食事の誤嚥(ごえん)などで肺に炎症が起こると、酸素の取り込みがうまくいかずチアノーゼを起こすことがあります。
人間でも高齢者の肺炎は高い死亡率であるのと同様に犬でも広範囲に及ぶ肺炎は命に関わることがあります。

胸水の貯留

胸腔に溜まった液体を胸水といい、胸水が沢山溜まると肺が十分に膨らまず呼吸困難となりチアノーゼを起こすことがあります。
胸水は腫瘍や感染、リンパ管の破綻など様々な原因で発生します。

気胸

気胸とは外傷などによって肺が傷ついて胸腔内に気体が溜まる病気で、気体に押された肺が十分に膨らむことができず、チアノーゼや呼吸困難を引き起こします。

横隔膜ヘルニア

横隔膜は呼吸のために常に動いている重要な筋肉で、胸腔と腹腔を分けています。
この横隔膜が外傷などにより裂ける病気を横隔膜ヘルニアといい、腹腔内臓器が胸腔内へ逸脱しチアノーゼを引き起こします。

心臓の病気

犬

心臓の病気の場合を紹介します。

僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁とは左心室と左心房を分ける弁で、左心室に流れた血液が左心房に逆流しないように働きます。
この弁が機能しなくなる病気を僧帽弁閉鎖不全症といい、中高齢の小型犬で非常に多く見られます。
初めは咳や動きたがらないなどの症状ですが、進行していくと肺水腫を引き起こし(うっ血性心不全という)、呼吸困難やチアノーゼといった症状が見られます。

犬の心臓病。僧帽弁閉鎖不全症の症状は咳や心臓音などの発作で早期発見!

心タンポナーデ

心臓は心膜という膜で覆われていますが、その膜の下に多量の液体が貯留することによって心臓が十分に広がらなくなってしまう病気を心タンポナーデといいます。
犬では心臓に血管肉腫という悪性腫瘍が発生することがあり、それが原因で血液を多量に含んだ液体が充満し心タンポナーデを引き起こします。
ゴールデンレトリーバーなどの大型犬は血管肉腫の好発犬種と言われており、注意が必要です。

脳・脊髄の病気

脳や脊髄の病気を紹介します。

脳腫瘍、脳炎

脳腫瘍や脳炎などにより、呼吸をつかさどる中枢である脳幹が障害されると換気不全になりチアノーゼや呼吸困難が引き起こされます。

進行性脊髄軟化症

進行性脊髄軟化症とは、椎間板ヘルニアなどによって局所的に起きた脊髄外傷がきっかけとなり、頭からしっぽまでドミノ式に脊髄が壊死していく病気です。
この病気を発症してしまうと、初めの症状は後肢のみの麻痺だったのが、徐々に前肢も動かなくなっていきます。
そして1週間程度で頚部脊髄の壊死により肋骨や横隔膜が正常に動かなくなり、チアノーゼや呼吸困難の症状が表れます。
有効な治療法はなく非常に恐ろしい病気です。

てんかん発作

てんかんとは、痙攣などのてんかん発作を主徴とする病気で、大脳に異常な電気的な興奮がおこることで引き起こされます。
てんかん発作中に一時的に無呼吸状態になることがあり、その間チアノーゼを起こします。
発作が落ち着けばチアノーゼは回復しますが、発作時間が長いと低酸素状態が続いてしまうため注意が必要です。

チアノーゼになった場合の対処法や応急処置は?

もし、時々発作的にチアノーゼを起こしてしまう病気(喉頭麻痺やてんかん)と診断されている場合は、発作の様子を注意深く観察して下さい。
発作時は無理に揺すり動かしたりせず安静にし、呼吸がし易いようにうつぶせにするのもよいでしょう。
発作時間がいつもより異常に長くなっているようなら、すぐに動物病院を受診しましょう。
その他の病気が原因でチアノーゼを引き起こしているなら、前述の通り命に関わる深刻なものが多いです。
チアノーゼと思われるような色の変化、呼吸困難(呼吸が速い、苦しくて寝られない)の症状があれば、迷わずすぐ動物病院を受診しましょう。
もしご自宅に人間用の酸素吸入スプレーがあるのであれば動物病院への移動中に使用してもよいと思いますが、シューッと音がして顔に風がかかるため、犬が嫌がることがあります。
もし嫌がって暴れるようなら中止して下さい。

さいごに

犬でチアノーゼが見られるということは、どこかに深刻な病気が潜んでいることが多く、一刻も早い適切な治療が必要になります。
かかりつけ病院の休診日に代わりに診てくれる病院はどこか、夜間に調子が悪くなったときに対応してくれる病院はどこかなど、前もって調べておくといざというときに安心ですよ。





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