「犬にガムを食べさせたら歯茎から出血していたけど大丈夫?」
「犬の歯茎が真っ赤に腫れて出血しているけど、ただの歯肉炎?」
このような症状に気づいたら、飼い主の方はどのように対処したらよいのでしょうか?
今回は犬の歯茎に出血や腫れを引き起こす病気について、詳しくご説明したいと思います。
目次
犬の歯茎から出血や腫れが見られる原因は?
犬の歯茎から突然真っ赤な出血が見られて明らかな腫れがない場合は、何らかの衝撃によって歯茎が傷つけられたと考えられます。
また、何もしていないのに歯茎にじわじわとした出血や腫れが見られる場合は、歯茎に炎症を引き起こす病気や腫瘍が存在している可能性があります。
腫瘍というと癌というイメージが強いと思いますが、歯茎に見られる腫瘍には良性のものと悪性のものがあります。
良性腫瘍や一部の悪性腫瘍は「腫れ」もしくは「しこり」のみで出血はないということ多いですが、大きくなると食べ物や歯に当たったりして出血しやすくなります。
そして悪性腫瘍の中でも悪性黒色腫や扁平上皮癌は、しこりの表面が潰瘍化することが多く、小さくても歯茎の出血や腫れを引き起しやすいです。
それでは具体的にはどんな病気が挙げられるのかを、次のセクションから詳しく解説していきたいと思います。
犬の歯茎の外傷
歯茎から出血のみ見られて明らかな腫れがない場合、外傷が考えられます。
犬が鋭利なものを噛んで遊んだり、おもちゃをくわえた状態で飼い主の方と引っ張り合って遊んだりすると、歯茎から出血することがあります。
もしそのような状況で出血が見られたのであれば、口の中をよく観察しておもちゃの破片などが刺さっていないかを確認してみましょう。
特に問題なければ多くの場合一時的なものですので、しばらく噛むようなおもちゃあそびは控えて様子をみましょう。
もし出血が続く場合は別の病気の可能性が考えられますので、動物病院を受診して下さいね。
犬の歯茎に炎症を引き起こす病気
犬の歯茎に炎症を引き起こす原因としては、口の中の細菌による歯周病や歯槽膿漏が挙げられます。
歯周病、歯槽膿漏
歯石が付着している付近の歯肉が赤くただれているところがあるという場合は歯周病の可能性が考えられます。
歯周病とは、歯肉が炎症を起こした歯肉炎と、歯肉炎が悪化し歯肉以外の歯周組織にも炎症を起こした歯周炎を総称したものを言い、食べかすなどが溜まった歯垢の中の細菌が毒素を出すことによって引き起されます。
歯周病が悪化すると歯槽膿漏といって、歯を支えている骨まで細菌が感染し、歯がグラグラしたりいつの間にか抜け落ちたりします。
そしてさらに感染が歯の根っこの方まで広がると、今度は顎の骨が溶かされ頬の皮膚まで穴が開きそこから膿が出るようになります。
この状態を外歯瘻(がいしろう)と呼びます。
軽度の歯肉炎であればわずかな歯茎の赤み以外無症状であることも多いですが、歯槽膿漏になると口臭が強い、よだれが多い、よだれに血が混じる、膿っぽい鼻水が出る、くしゃみが多い、口を触ると怒る、フードを食べづらそうに食べている、外歯瘻になると頬の皮膚から膿が出るなどの症状が出ます。
歯周病の歯を磨くと歯茎の炎症により出血しやすい状態になっていて、日常的に歯磨きをされていない犬、高齢犬、小型犬では発症リスクが高くなります。
治療には全身麻酔下で歯石除去や必要に応じて抜歯を行います。
犬の歯茎に見られる腫瘍
歯茎に見られる腫瘍には良性のものと悪性のものに分かれます。
良性ものにはエプーリス(歯肉腫)、悪性には悪性黒色腫(メラノーマ)、扁平上皮癌、線維肉腫、棘細胞性エナメル上皮腫が挙げられます。
良性腫瘍
・エプーリス(歯肉腫)
エプーリスとは歯肉にできる良性のしこりで、歯肉腫とも呼ばれます。
犬のエプーリスは中高齢の犬での発生が多く、歯垢や歯石による刺激や歯周病の他、体質的なものが関連して発生していると考えられています。
小さなエプーリスができても歯茎の腫れ以外症状が表れないことが多いですが、大きくなってくるとよだれの増加や口臭、ご飯を飲み込みづらくなる、歯にあたって出血するなどの症状が見られるようになります。
後述の悪性腫瘍と鑑別するためにも、診断や治療には麻酔下での外科切除と組織検査が必要です。
良性腫瘍なので転移などは起こしませんが、放っておいても自然になくなりませんし次第に大きくなるため、歯周病の治療と同時に切除をすることが望ましいしこりです。
悪性腫瘍
歯茎に悪性腫瘍がつくられると、口臭が強くなる、よだれが多くなる、よだれに血が混じる、食欲がない、ご飯を飲み込みづらい、痩せてきた、などの症状が見られます。
見た目だけではどんな腫瘍なのか診断できないため、生検といって細胞診や組織診や、手術する範囲を検討するために画像検査(CT検査など)が必要になります。
治療としては、腫瘍の種類や発生した場所、進行度によって選択肢は異なりますが、外科手術や補助的に放射線治療や抗癌剤の投与を行います。
悪性腫瘍に行う手術は、良性腫瘍のように単にしこりだけを切り取っても再発してしまうため、顎の骨まで大きく切り取る必要があります。
・悪性黒色腫(メラノーマ)
高齢犬で歯茎に盛り上がった黒いしこりを作っている場合、一番に考えられる病気は悪性黒色腫です。
中には黒い色素を出さずに赤いしこりを作る悪性黒色腫もあります(乏色素性悪性黒色腫)。
悪性黒色腫は主に高齢犬に発生し、口腔内腫瘍の中で一番多く見られる腫瘍で、急速に成長して骨まで広がったり転移を起こしたりする非常に厄介な病気です。
・扁平上皮癌
犬の口腔内に発生する悪性腫瘍の中で二番目の多く、高齢犬での発症がほとんどです。
この腫瘍は歯茎にできることもあれば、喉の奥の方(扁桃や舌の根元)に出来ることもあります。
喉の奥にできた場合、症状が出ていても見えないためにしこりの発見が遅れやすく、位置によっては手術で摘出することも困難です。
・線維肉腫
中高齢の大型犬(特にゴールデンレトリーバー)の歯茎に見られることが多く、扁平上皮癌や悪性黒色腫に比べると比較的若い年齢でも発症します。
さわった感触が非常に固く、出血は比較的見られにくい腫瘍です。
・棘細胞性エナメル上皮腫
以前は棘細胞性エプーリスと呼ばれ良性腫瘍の仲間でしたが、骨への浸潤が強いため、悪性腫瘍に分類されるようになりました。メラノーマや扁平上皮癌のように転移をする腫瘍ではないですが、しっかりと切除しないと再発してしまいます。
こちらも腫れが主体で出血は比較的見られにくい腫瘍です。
さいごに
外傷以外の原因で歯茎に出血や腫れが見られる場合は、歯茎の炎症や腫瘍のサインであるということがお分かりいただけたでしょうか?
3歳以上になるとほとんどの犬に歯周病が始まっていると言われており、人間同様に、歯周病を放置すると全身の臓器に影響して、肺炎など様々な病気の発症や進行のリスクとなります。
このような口の中の異常に気づいたら、できるだけ早めに動物病院を受診されることをおすすめします。
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