貧血

犬の貧血の症状や原因や治療方法は?治療費用はどのくらいかかる?

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犬の貧血は様々な病気に不随しておこり、非常によく見られる異常です。
今回は犬の貧血がなぜ起こるのかを原因別にご説明したいと思います。

貧血の定義と原因と症状

貧血は、赤血球やヘモグロビン(血色素)の量が正常よりも少なくなった状態を言います。
貧血が起こる原因を大きく分けると、

①赤血球が作られない
②赤血球が破壊されてしまう
③出血している

この3つになりますが、原因がどれかひとつとは限らず、いくつか合わさって貧血になることもあります。
貧血が起こると体に酸素が行き渡らない状態になるため、粘膜蒼白、元気消失、虚脱、運動したがらない、呼吸が速いなどの酸欠の症状がでることがあります。

① 赤血球が作られない

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赤血球の元となる材料が足りない

赤血球は、骨髄でつくられますが(造血)、その際に消化管で吸収された鉄やビタミンB12、葉酸、そして肝臓でつくられた蛋白質といった材料が必要になります。
このケースの貧血の重症度は原因によって様々で、進行も比較的ゆっくりであるため、典型的な酸欠の症状は見られないことも多いです。

・炎症性疾患、腫瘍性疾患などの慢性的な病気

犬では非常に多くみられる貧血の原因です。慢性疾患があると鉄の代謝に異常をきたすため、骨髄での造血が障害されます。
また作られた赤血球自体の寿命が短くなるため貧血が進行します。
子宮蓄膿症や重度の歯周病などの炎症性疾患は動物病院では日常的によく遭遇する病気で、治療前の血液検査で貧血が指摘されるケースが多いです。

・消化管の病気:炎症性腸疾患(IBD)やリンパ腫などの消化管に発生する病気

本来消化管から吸収されるはずのビタミンB12や葉酸が吸収しづらく、貧血が起こることがあります。

・鉄の不足

偏食や栄養不足、胃の切除後で鉄分が吸収されにくい場合に起こる貧血で鉄欠乏性貧血と呼ばれます。

腎臓の異常

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・慢性腎不全

腎臓では、エリスロポエチンという赤血球の産生を促すホルモンを作っていますが、腎不全時ではそのホルモンの分泌が減り貧血になります(腎性貧血)。

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骨髄の異常

赤血球の製造工場である骨髄の病気で貧血が見られることがあります。
犬の骨髄疾患の発生頻度は決して多くないですが、その中でも代表的なのは下記の2つの病気になります。

・赤芽球癆(せきがきゅうろう)
・非再生性免疫介在性貧血

この2つの病気はいずれも、赤血球が成熟するまでの過程の細胞が骨髄で破壊されてしまうために引き起こされる貧血です。
原因は自己免疫(免疫機能が誤って自分の細胞を異物と認識して攻撃する)によるものと考えられています。
貧血の度合いとしては重度ですが、進行が慢性的であるため酸欠の症状は軽度が特徴で、国内ではミニチュアダックスフンドでの発生報告が多いです。

② 赤血球が破壊されてしまう

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赤血球が破壊されてしまうことを溶血といい、溶血性貧血は犬ではしばしば遭遇する病気です。
溶血の特徴は、粘膜や皮膚の色が黄色くなる、尿が濃いなどの黄疸の症状が見られたり、また急性に発症することが多いため呼吸促迫や頻脈などの酸欠の症状が強くでる傾向にあります。

溶血性貧血

・タマネギ中毒

ネギ属の植物に含まれる成分(アリルプロピルジスルフィド)によって赤血球が酸化され、破壊されてしまう病気です。

・自己免疫性溶血性貧血

免疫機能が誤って自分の赤血球を異物と認識して攻撃することで赤血球を破壊してしまう病気です。

・バベシア感染症

マダニによって媒介されるバベシア原虫という寄生虫が赤血球に感染し、内部で分裂することによって直接破壊したり、感染した赤血球を排除しようと免疫が働いたりすることで溶血します。
西日本、とくに山口県での発生が多く報告されています。

不適合輸血

血液型の合わない犬の血を輸血したときに起こる副反応で、2回目以降の輸血時に起こりやすいため注意が必要です。

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③ 出血している

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出血によってヘモグロビンの元となる鉄が足りないために起こる貧血で、鉄欠乏性貧血といいます。
鉄欠乏性貧血というと、前述の鉄の摂取不足を思い浮かべる方が多いと思いますが、一番多い原因は実は出血です。

腫瘍や血腫からの出血

脾臓や肝臓に発生する血管肉腫や血腫は、巨大化したり、しこり表面が脆くなりやすいです。
そこに圧力が加わると突然大量出血を引き起こし貧血となるため、虚脱、呼吸促迫、粘膜蒼白などの症状がでます。

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消化管からの出血

胃潰瘍や十二指腸潰瘍、消化管の腫瘍では消化管の粘膜から出血することで貧血になります。
便の色が炭のように黒いのが特徴です。
ステロイド剤や非ステロイド性鎮痛剤には消化管粘膜を障害することがあり、それらの投薬時の便の色には注意する必要があります。

ノミダニによる吸血

外飼いの犬などで大量寄生した場合、吸血によって貧血になることがあります。

外傷

交通事故などの外傷時に骨折や臓器の損傷によって出血することがあります。

血液凝固異常の病気がある

殺鼠剤中毒、血友病、血小板減少症の患者では、血が止まりにくく様々な部位から出血しやすくなっているため、貧血を起こすことがあります。

どんな検査をするの?

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貧血の原因を特定するためには、血液検査、レントゲン検査、超音波検査は必須の検査になります。
診断に至らない場合はオプション検査として、消化管の病気が疑われる場合に内視鏡検査、骨髄疾患が疑われる場合は骨髄穿刺・骨髄生検、悪性腫瘍ではCT検査などを行います。
これらのオプション検査のほとんどが全身麻酔下もしくは鎮静下で行われることが多く、また必要となる機械が特殊であるため、二次診療病院(大学病院や専門病院)への受診が必要となることもあります。

治療費用はどのくらい?

原因となる病気や貧血の度合いによって治療法は変わるため、費用も様々です。
重度の貧血や急性多量出血の場合は、輸血や入院治療が必要となることが多いため、入院1日あたり2万円以上はかかるものと心積もりしておいた方がよいでしょう。
また手術を受けるとなると、総額数十万円の請求も珍しくありません。
また仮に赤芽球癆・非再生性免疫介在性貧血・自己免疫性溶血性貧血などの自己免疫疾患の場合、複数回の輸血に加え、ヒト免疫グロブリン製剤の投与、退院後も免疫抑制剤などの高額な薬剤を使用することがあります。
どのような病気で貧血しているのか診断がついたら、治療方針と一緒に、今後の治療費用の見積もりを提示してもらうよう、かかりつけの動物病院へお願いするようにしましょう。
このような場合に備えてペット保険の加入も一考の価値があります。

貧血は予防できる?普段の生活で重要なこととは?

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貧血かどうかは判断できる?

貧血というと、「苦しそうにしていて、粘膜の色を見ると白っぽい」というイメージがあるかも知れませんが、そのような症状を示すことは余りありません。
むしろ貧血以外の症状で、便の色が黒い、尿の色が濃い、突然倒れた、元気食欲がない、熱っぽいといった症状の方が気づきやすい病気のサインです。
このような症状が見られたらすぐに動物病院を受診し検査を受けましょう。

健康診断は重要

前述の通り貧血を引き起こす病気は無症状で進むことが多いので、年に1回は健康診断を受けるようにしましょう。
小型犬では10歳、大型犬では8歳を超えてくると高齢になり、病気になる犬が増えてきます。
また春のフィラリア検査時期には、健康診断キャンペーンを行っている動物病院もありますので、上手く利用すると良いでしょう。

質のよい食事を

栄養バランスの考えられたドッグフードを食べていていれば、鉄分が不足することはまずありませんが、市販の缶詰やパウチのほとんどが総合栄養食ではなくあくまで補助的な食事です。
よく食べるからといってそれだけを与えるのは避けましょう。

徹底したノミやダニ予防を

ノミやダニは蚊と違い1年中活動しているため、外で飼っている犬はしっかり予防しましょう。
関東に住んでいる犬でも西日本へ旅行する際は、特に注意して下さい。

タマネギは煮ても焼いてもNG

タマネギの中の中毒成分は加熱しても毒性は弱まりませんので、シチューやカレー、チャーハンなどの誤食も中毒になることがあります。
またタマネギや長ネギだけでなく、ニンニクやのびる、らっきょうもネギの仲間ですのでご注意下さい。

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さいごに

少し難しい名前の病気が多かったかも知れませんが、ここに記載した病気は実際に動物病院で診察する機会の多いものばかりです。
飼い主の方が「犬が貧血しているかどうか」を見極めることは難しいです。
それよりも日頃からよく観察して、なんとなく犬の様子がおかしいという感覚を大切にして下さい。
それが病気の発見につながります。





愛犬のために知ってほしいこと


「愛犬を動物病院に連れていきたいけど費用はどのくらいかかるんだろう?」

「愛犬の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」

という飼い主さんはとても多いです。

動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかる場合があります。

動物病院で治療すれば助かった命が年に何件もあります。

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