犬の腹水

犬の腹水は治る?何の病気?治療方法や治療費を解説

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犬の病気の症状に「腹水」というものがあります。
これはお腹の中に水が溜まっていく症状です。
最初は「太ったかな?」と思う程度ですが、だんだん進行していくと「明らかにおかしい」と飼い主が気付くほど大きくパンパンに膨らみます。
今回はこの腹水の症状と治療法についてまとめてみました。

■腹水はどうしておこる?

腹水は文字通り「お腹に水が溜まる」症状です。主に心臓や血管など循環器系の病気で多く見られる症状です。

心臓や血管にトラブルがあって血の流れが悪くなると、血管から血液の成分が体内へ漏れ出ていきます。

胸部や腹部には空間があります。このため、お腹や胸に水分が溜まりやすく「腹水」「胸水」という症状が出ます。

心臓や血管のトラブルの元を治療し、血流を良くしなければ腹水や胸水は治りません。

ただ根本的な病気の多くが完治が難しい病気です。このため「腹水は治らない」と言われることもあります。

腹水を治療せずに放置していると、血液の成分が体内へしみ出し続け、体内に溜まった水分が内臓を圧迫して機能障害を起こしたり、全身に栄養分が十分に行き渡らなくて全身性の障害が現れます。

■腹水の症状がみられる病気は?

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腹水の症状が見られる代表的な病気は「心臓病」「フィラリア症」「肝臓病」の3つです。

●心臓病

心臓病自体に問題があって血流が悪くなってしまうため胸水や腹水といった症状が顕著に出ます。

心臓には4つの部屋がありますが、問題がある場所によって「胸水」か「腹水」か、水が溜まる場所が異なります。

腹水の症状が出る心臓の病気には「心筋症」や「肺動脈弁狭窄症」といった病気があります。

心臓は強靱な筋肉の塊です。死ぬまで動き続ける筋肉ですが、この筋肉が弱まって心臓の動きが鈍くなるのが「心筋症」です。

「肺動脈狭窄症」は肺動脈の根元が生まれつき狭いため、血流が滞ってしまい、心臓が肥大したり肺の血圧が低下する、といった症状が出ます。

どちらも血流が滞るため、運動や散歩を嫌がる、疲れやすい、咳が出る、酸欠状態、呼吸困難、腹水といた症状が出ます。

治療法には、薬で治療する方法と、心臓手術をする方法があります。

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●フィラリア症

これはフィラリアという寄生虫が心臓や肺動脈に寄生する病気です。

蚊が媒介する病気で、毎年予防薬を服用することが有効といわれています。

そうめんのような成虫が心臓に寄生すると、血の流れが悪くなり、酸欠状態、呼吸困難、激しい咳、腹水が溜まるといった症状が出ます。末期には肝硬変になることもあります。

フィラリアに寄生されてしまうと完全に治療することは困難で、現れる症状を緩和する対処療法を続けるしかない、と言われています。

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●肝臓病

肝臓は「消化酵素を出す」「栄養素をとりこむ」「毒素を中和する」こうした働きをする臓器で、たくさんの血液が常に流れ込んでいます。

化学工場とも呼ばれる肝臓の病気になると全身の機能に大きな障害が出て、元気喪失、食欲減退、嘔吐、下痢などの他に、腹水、黄疸といった症状が出てきます。

特に、黄疸の症状が出るとかなり症状が進行しており、末期の状態である可能性もあります。具体的な病気は、肝炎、肝硬変、肝臓がんなどが考えられます。

先にあげたフィラリア症の末期症状のひとつにも、肝臓の細胞がゆっくりと壊れて肝機能が低下する肝硬変があり、腹水が溜まります。

また、腎臓機能が低下して尿を作り出すことができなくなって全身に毒素や老廃物が回ってしまう尿毒症になって肝臓機能が低下し、腹水が溜まることもあります。

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■腹水の治療方法と費用は?

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腹水の治療には、次のような方法をとります。

・腹水が溜まる根本的な原因(心臓病、フィラリア症、肝臓病など)を治療する
・溜まっている腹水を減らす処置をとる

病気の進行状態や犬の体力・持病の有無などを見ながら、上記ふたつの治療を同時並行で行うことになります。

なお、治療費については動物病院によって大きく異なります。

獣医師の診療料金
獣医師の診療料金は、独占禁止法により、獣医師団体(獣医師会等)が基準料金を決めたり、獣医師同士が協定して料金を設定したりすることが禁じられています。
つまり、現行法のもとでは獣医師は各自が料金を設定し、競争できる体制を維持しなければならないことになっております。したがって動物病院によって料金に格差があるのはやむを得ない状況と言えます。
引用元:日本獣医師会 http://nichiju.lin.gr.jp/small/ryokin.html

正確な費用について動物病院に確認してみてくださいね。

●病気の根本的な治療を行う

<心臓病の場合>

心筋症は先天的な問題が大きく、完治が難しいと言われていて、主に対処療法(現れる症状に合わせて治療する方法)がメインの治療法になります。

肺動脈弁狭窄症は症状が軽い場合は特別な治療は必要なく、薬を使うことで症状が軽くなるケースもあります。

ただ、心臓病の症状が重度の場合は心臓手術が必要になるケースもありますが、非常に難易度の高い手術になります。

~心臓手術に必要な費用~

診察料+手術前の検査費用+手術代+麻酔代+入院費+薬代

手術前の検査内容、術後の経過、入院日数、薬の数や量(大型犬になると薬代が高くなります)などによって幅がありますが心臓手術の費用は約15万~40万円になります。

<フィラリア症の場合>

成虫が心臓や肺動脈に寄生している場合、根本的な治療はほとんど不可能と言われていて対処療法がメインになります。

フィラリア(幼虫)駆除薬、気管支拡張剤、貧血などの薬代、高栄養価の食事に変えるといった治療になります。

費用は症状や状態によって大きく変わりますが、薬代がメインになります。

<肝臓病の場合>

肝臓病の場合は多くが対処療法と食事療法をとります。食事療法の場合は、長期間特別なフード(塩分や脂肪分を控えたもの)の費用が必要になります。

なお、肝臓がんの手術は約10万~40万円必要ですが、多くの場合は手術をしても全てのがんを取りきることができず、その後、投薬による治療を続けるケースもあります。

ただ解毒の働きをする肝臓が悪くなっている所に複数の薬を与えると他の臓器に支障が出るケースがあり、また、抗がん剤は高価で多くの副作用がでるケースがあります。

肝臓病で投薬する場合は獣医師とよく相談し、持病や過去の病歴なども含めて検討するようにしましょう。

●管を通して腹水を抜き取る

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これは腹水を直接、管を通して抜き取る方法です。全身麻酔をし、管を刺して水を抜き取ります。

お腹に溜まって臓器を圧迫している水がなくなるので、目に見えて犬は元気になります。ただ、肥満の犬の場合、うまく管が刺さらなくて排水が効率的にできないケースもあります。

腹水を抜く治療では、診察料+手術前検査代+麻酔代+処置代+薬代などが必要になります。病院によって異なりますが、約5万円~10万円の治療になります。

なお、根本的な治療を行わない限り、腹水を抜いても再び腹部に水が溜まります。あくまで一時的な症状を緩和する措置なので、獣医師によってはこの処置を行わないケースもあります。

●薬を使う

腹水を抜くために、利尿薬、血管拡張薬を使う治療があります。これは薬代のみで済みますし、麻酔のリスクを考えなくても済みます。

薬代は病院によって異なる他、犬種(犬の体重)、症状の状態によって異なるので、直接、動物病院で確認してみてください。

この治療の場合、薬が効いて腹水が減るまで時間が掛かるため、管を刺して抜く方が目に見えて犬が回復しているように感じられます。

■まとめ

腹水は対処療法で一時的に症状を軽くすることが可能です。

ただし、心臓病やフィラリア症、肝臓病などの根本的な治療を行わない限り、根本的な治療はできません。

心臓病は先天的な問題が大きく、フィラリア症は感染すると完治不可能と言われています。肝臓も症状が表に出てきた時には症状が進行していて完治させることができないケースが多いのが現状です。

病気は予防・早期発見、早期治療が大切です。毎日のスキンシップや飼い主による観察を欠かさず、定期的な健康診断を受けるようにしたいですね。

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